パンパイプと共に

熊本からパンパイプ(パンフルート)にまつわる色んな出来事や雑感を綴っていきます

高音域のCとG問題

初心者のうちは高音域を吹くのが難しいと思います。その原因の一つにCとG問題があります。高音域の C(ド)とG(ソ)を吹くと、音がぶら下がるようにフラフラする現象です。これはG管(ト長調)の場合で、C管(ハ長調)の場合はCとFが不安定になります。

原因は、右隣の管との音程差が半音しかないので、息が右側の管に引きずられてしまうためです。試しに右隣の管を塞いで吹くと、この引きずられ現象は起きません。

この問題を解決するには、息のスピードを下げないようにアパチュアをしっかり絞って上方向に吹くと良いのですが、その為には息の支えが必要です。基本は、綺麗なアパチュアを作ること、腹式呼吸ロングトーンですね。この引きずられ現象を意識しながらロングトーンをしています。

他にも対応策がいくつかあるのですが、あまりお勧めしないので割愛します。

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我が家の肥後椿が咲きました。

ロングトーンはなぜ必要か

毎日の練習で退屈なのがロングトーン。でも大事なんですよね。

アンドレアさんから習ったロングトーンは2種類あって、基本は一定の音程、音色、音量で音を長く伸ばすロングトーン

この基本のロングトーンは、曲の中で長く伸ばす音を吹く時に必要ですし、長いスラーがかかっているフレーズはブレスなしで吹きたいですよね。あるいは曲の最後に全音符で2小節がタイで繋がっている場合もあります。しかもフェルマータ付きで。スラーやタイは長くても普通は2小節内なので、最低でもメゾフォルテで8秒、できれば16秒は伸ばしたいものです。

パンフルートは吹いた息に対して音になる効率が悪いので、腹式呼吸ができていないと最初のうちはきついかもしれません。でも、ロングトーンを繰り返すことでだんだんと長く吹けるようになります。吹いた量は裏切らない!です。

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他にも、高音域のCとG問題(ハ長調調律の楽器ではCとF問題)があって、その対処にもロングトーンが大事だとアンドレアさんは仰っています。CとG問題はまたの機会に説明します。

楽器の左右の向き

市販されているパンフルートの多くは左高音です。ルーマニアタイプというのかな?一方で、右高音は中国や台湾に多く、ショップによっては左手用と表記してあります。

初めてパンフルートを買う時、どちらにしようか迷いました。今まで使ってきた鍵盤楽器やハーモニカは右高音なので戸惑うのではないかと。しかし、販売されている本数と材質の種類は圧倒的に左高音が多かったので左高音にしました。最初のうちはたまに左右を間違えていましたが、さすがに3年目となった今では間違えません笑。

そして、左高音にして正解でした。利き手で楽器を支えた方が楽器の速い動きにも上手く対応できるからですね。ホラ・スタッカートを練習していると速くてちょこちょこした動きがあって、こりゃ利き手じゃないと楽器を動かせない、無理と思いました。

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音の終わり方〜リリースしない

パンフルートは息を歌口に直接当てて音を出すエアリード構造です。オカリナやリコーダーもエアリード構造ですが、歌口に当てる空気の量が一定なので音の終わりで音量を下げようとして息のスピードを下げると音程も下がります。その点、パンフルートは息を出すアパチュアを絞れば息のスピードが上がり、ディミニエンドしながら音尻が下がることなく音を終わることができます。

トランペットなどの金管楽器はマウスピースのカップの中で唇を振動させて発音しますが、吹きながらそのまま息を弱くして音を終わると音程が下がります。そこで、音をバッサリ切って羊かんのような形にして、残響で音を響かせるようにします。ブラスバンドやオーケストラの指導者は、金管奏者にリリースと言って指導するそうです。リリース、つまりマウスピースから口を離すのですね。

パンフルート金管楽器のように残響が残るような十分な音量が出ないので、音の終わりをリリース処理すると音がぶつ切れになります。

パンフルートでの音の終わりは普通はリリースしないのが良いでしょう。

David Tin さんによる Mojito

曲の後半では口を大きく楽器から離して(リリースして)演奏していますが、曲の軽快な雰囲気を盛り上げています。

 

 

運口と運手の組み合わせ

 パンフルートの入門用の教則本には、音の移動をするのに初めのうちは首を動かして、つまり口の方を歌口に運んで練習するように書いてあります。そして、以前の記事「運口⁉︎」の中で口を運ぶ難しさを書きましたが、速い曲を練習しだしてから「運手」の重要性を痛感しています。特に半音が混じると楽器を傾ける動作まで入るのですから口を動かすだけではとても間に合いません。

 速いパッセージの練習は、他の楽器でもそうですが、①緩から急へと、②付点を付けて、そしてその組み合わせですが、これが結構根気がいる練習なんです。②の要領は例えばタンタンタンタンの四拍子のリズムなら、ターンタ、ターンタとタターン、タターンのリズムに分けて練習します。これを段々速くしていって、身体に動きを覚えさせるのです。

 先日、地上波で放送された「ガンダムを動かせ〜夢に挑んだエンジニアたち〜」の中で、人間の手指はどんな方向にでも動かせるが機械で再現するのは大変難しいと言っていました。パンフルートを練習して思うのは、自由に動かせるから逆に同じ動作を正確に再現させるのが難しいのかなと。

 しかし、その前に自由に動かせる手があることへの感謝を、そして何よりパンフルートを吹けることへの感謝を忘れていました。

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Hora Staccaeto in F  Dinicu

 

今年の目標

今年は日本のパンフルート界を盛り上げるひと笛になりたい、ということで

 自分のスキルアップ

 YouTubeでの発信

 リモートでの超々初心者講座

などに取り組みたいと思います。

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本年もよろしくお願いします。

パンフルートの調性

 パンフルートはほとんどがト長調・G管ですが何故でしょうか。ギリシャでのピタゴラス音律の流れではないかという話があります。パンフルートは起源が古い楽器ですからね。

 私個人の勝手な妄想では、ルーマニアでのパンフルートの発展期に、一緒に演奏するバイオリンなどの弦楽器に合わせやすい事もあったのではないかと思います。バイオリンは調弦する音程からト長調ニ長調のシャープ系?の曲だと音が良く響くらしいですね。

 あるいは、フルートの原型であるフラウト・トラヴェルソニ長調・D管だった事も関係あるのかな?そういえば、現代のC管フルートもシャープ系の曲が吹きやすいと思います。フルートにとってC#は不安定な音で緊張感があるため、それがニ長調に合うのではないかと思います。

 基本的にパンフルートはどの楽器でもチューニング可能なのでどの調性でも対応できるはず。不安定な音も上手い人にはないでしょう。(私は全ての半音が不安定ですが笑)

 私が使っているBrad Whiteさんのパンフルートは購入時はハ長調・C管です。その音域がフルートと同じこともあり、そのままC管で吹くことが多いのですが、G管とF管にチューニングした楽器でも練習しています。私が知る範囲では、ミシェル・ティラボスコ(Michel Tirabosco)さん、マタイス・クーネ(Matthijs Koene)さんはC管で吹くことが多いようです。