若い頃にフルート奏者の小出信也先生のレッスンを受けた時の話です。
音色の話になり、「音色(おんしょく)をよくするにはどうしたらいいですか」と聞いたところ「君、おんしょく というのを ねいろ と言うだけでも変わるよ」と言われ何となく得心したことがあります。
具体的にはもう少し上向きに吹くよう言われたので改めたところ、その方がずっと明るくていい音だよと言われました。
同じようにパンフルートも上向きに吹くのが良いと、ザンフィルの指導を受けたことがある方から伺いました。「天に向かって吹け」と。
この図はパンフルートで440Hzの音を下向きと上向きで吹いた時の比較です。
上向きの方が第2倍音がよく鳴っています。また、高音域の倍音の数も下向きより多いようです。
これは上向きに吹くのが良いことを示す1つの根拠かもしれません。
さらに、前に第3倍音はE♭が鳴ると書きましたが、これは吹き方が悪いせいで、本当はEが鳴らないといけないのですね。で、上向きに吹くとE、つまりオクターブ上の5度が鳴るのですよ。第3倍音が完全5度だと440Hzのラを吹いただけでハモってる笑。
最近、第3倍音が聴こえるようになりました。
ベートーヴェン第九の冒頭。完全5度の緊張感を思い出します。